
最近は台風が一気に複数まとまってできたりすることが多い。
旅先でもいきなり雨が降ったら大変だろうと思う。
イギリスを旅行していた時の話である。
旅行に出る前にイギリス人は雨が降っても傘を持たないといううわさを、聞いたことがあった。
なのでボクも特に傘は持ち歩いていなかった。

ある日のこと、ボクはアーサー王の円卓の騎士の伝説が残る町、ウィンチェスター(Winchester)にいた。
一人で歩きながら町を観光していた。
円卓の騎士が使ったとされる円卓(Round table)を見たり、ゲームに出てきそうな雰囲気の建物や教会に囲まれた石畳を歩いていた。
突然雨が降り出してきたが、近くに雨宿りできそうな場所もなかったので、ずぶぬれになってしまいそうになった。
その時はちょうど一人だったので、話す相手もおらず、何となく心細くもなっていた。
しかしそばを通りかかったイギリス人男性が、心配してくれて、黒いジャケットをボクにくれたのだ。
ボクはものすごく感動したので、感謝の意を述べた。
そして一緒に雨宿りができる場所に移動した。
彼はポールといった。
イタリア系イギリス人で、大工(carpenter)だと言った。
ポールはこの町に住んでいるそうだ。
こんなゲームのような世界の町に住むとはどんな感じなんだろう。
さらに話ははずみ、一緒に近くのパブに入ることにした。
ビールのことは良く分からないので、とりあえず有名な黒ビールギネスを注文した。
ポールも同じものを注文していた。
Winchesterはそんなに大きな町ではなく、日本人もあまり訪れるようなところではないので、ポールは日本のことに興味を持ったようで、
いろいろと日本のことを聞いてきた。
そして日本人のおれがなぜこんなに英語を話せるのか疑問だと言っていた。
2時間くらい話したと思う。
地元の人と触れ合うという貴重な時間を過ごすことができ、ボクは満足だった。
帰るときにジャケットを返そうとしたが、ポールはボクのことを気に入ったらしく、「いいから、取っておいてくれよ。また雨が降ったら困るからね。」と言ってかっこよく去っていった。
雨のおかげで楽しい出会いがあり、英語のおかげでその機会を活かすことができた。
英語は道具であるが、旅の目的の一つに人との出会いというものがあるのであれば、
英語ができることに越したことはない。
そしてこれを機会におれも、日本で困っている外国人がいたら助けるようにしている。