オーストラリアから帰国後は就職試験のために勉強する日々が続いていた。
オーストラリアではいろんな人に出会い、刺激を受けたが、
日本に戻ってきてからはバイトと就職試験の勉強、そして英語勉強の日々が続いた。
そんなある日テレビでハリーポッターを放送していた。
字幕で放送していたのだが、字幕を見なくても分かるようになっていた自分に驚いた。
オーストラリアでの経験はもちろん、その後自分で独自に考えた英語勉強方法が効いていた。
言っていることが分かるのでどんどんとハリーポッターの世界観に引き込まれた。
映画が終わるころには「イギリスに行こう」と思っていた。
しかし現実を見てみると、就職試験は数か月後だし、無理かなと思っていた。
そんな矢先のこと、バイト先から「仕事は今月で終わりだよ。」
まあ確かに短期バイトだったし、仕方ないかと思う反面、「これはイギリスに行きなさいということだ」と思った。
いつも直観に従う俺はすぐに航空券を手配した。
イギリスを旅しながらでも勉強はできるはずだ。
高校の時も勉強時間は一日で10分とか限られていた。
それでも国公立大学に合格できたんだから今回も大丈夫だ。
一か月後ボクはロンドンにいた。
泊まるところも計画も何も決まってないボクはとりあえず,ロンドン市内のバックパッカーズホテルを探し、一週間ほどそこに泊まることにした。
チェックインすると白人男性が話しかけてきた。
「ハロー。日本人?」彼はロンでドイツから来たそうだ。
観光船でカメラマンをやっていてロンドンには3日間ほどステイするそうだ。
大英博物館からロンドン塔、テムズ川、ミュージカル観賞など主要なものは見ることができた。
ロンのあとはブラジルからやって来たアレックスと友達になり一緒に観光した。
その後他の町に移動し、イギリス人と友達になることができた。
彼はベンと言った。
一緒にストーンヘンジとか歴史ある教会、アーサー王伝説の残る町などイギリスの歴史に触れることができた。
石でできた建物に囲まれ、まるでゲームの世界の中にいるようで、それだけで感動した。
日本は木の建物の文化で何百年とかの単位だが、イギリスは石の建物の文化で1000年単位で建物が残っていたりする。
そんな夢のような日々を過ごした後、帰国のためロンドンに戻ってきた。
宿を探そうとしたが、、、財布がない!どこかで失くしてしまったのだろう。
パスポートとか、明日空港に行くためのお金は別で保管してあったので何とか助かった。
しかし今夜の宿代がない。
困った俺は公園のベンチで寝袋に入りうとうとしていた。
夢のような日々だったな、、、突然どこからか視線を感じた!
目を開けると男性が目の前に立ってボクを見ているではないか!
「ここで寝てたら危ないよ~」酔っぱらってるのか?
目の焦点が合っていない感じだ。
男は続ける。「だってね、つい最近もこの近くで殺人事件があったばっかりだよ。ひっひっひ。」
なんなんだこの男は。怖くなり寝袋を畳んで逃げる準備をした。
さらに男は「もしかしたらその殺人鬼はおれかもね!」
わーーー!
すぐにおれはその場から立ち去り人気のある場所に逃げ込んだ。
時計を見るとすでに夜中の2時すぎ。店は全て閉まっている。
ボクは気を取り直して、別の公園に行きベンチで座りながらうとうとした。
次の朝、ボクは鳥の声で目覚めた。
昨夜はなんだったんだろう。目覚めたおれは空港に向かって歩き始めた。
すると黒い車が近づいてきた。
車の中からは黒づくめのギャングみたいな二人の男がボクのことを呼んでいるではないか。
な、なんだこの人たちは?絶対にやばい人だ、と思ったが、こういうときって断ることができないのだと感じた。
いやいやながら車に近づくと、男たちは段ボールからコートを取り出し、何やら説明をし始めた。
「このコートは本物だよ。防寒も完璧だし、火だって通さないんだ」
と言ってライターでコートをあぶり始めた。
確かに何のダメージもないようだ。男たちは続けた。
「このコート本来なら2000ポンド(30万円くらい)だけど1500ポンド(20万くらい)にまけとくよ」
財布を無くしていたボクはむしろラッキーだった。
財布を落としたことを説明すると、男たちは理解したようだった。
無事にボクを解放してくれた。
一か月だったが、英語が話せるようになっていたおかげで、いろんな人と出会い一緒に旅することができた。
あぶない経験も英語のおかげで回避することができたのだと思う。
このイギリスの経験を生かして、さらに楽で楽しくできる英語勉強方法を研究していこうと思った。