オーストラリアにいるころの話だが、ファームステイを経験したことがある。
都会から離れた典型的な内陸のオーストラリアといった感じだった。
360度広がる赤土の砂漠と、地平線。そんな景色の真ん中にある町だった。
農場のオーナーはケン。
大きな農場で、羊から牛、その他いろいろなことを行っていた。
小さなピザ屋も経営していた。
その中にアボリジニの青年ロンがいた。
無口な感じだが、ビールを飲むと明るく話し、おれとはすぐに仲良くなった。
ロンはアボリジナルアートのアーティストでもあった。
アボリジナルアートについてロンにはいろいろと教えてもらった。
アボリジナルアートはもともと部族の間で連絡用に使われていたものもあるらしい。
例えば、ある記号は水の場所を示したり、動物の場所を示したりしている。
またある時はドリームタイムと呼ばれる、人間が創造されたころのドリームタイムと呼ばれる神話を描いているものもある。
彼らの思想に時間は関係ないらしい。
過去・現在・未来が全て同時に存在しているのだ。
最近バシャールとかの本を読んだことがあるのだが、まさにバシャールの言っていることと同じなのだと思った。
世界の神話などはどこか共通するものがある。
やはり人間が生まれてきたことには意味があるのだろうか。
神と言われる存在である宇宙人によって作られたのだろうか。
それは分からない。
一つ言えるのは、絵を描いていると心がクリアになり、精神が統一できるというか、
まるで瞑想でもしたかのような感覚になれるのである。
アボリジナルアートで使われる色は、もともとは自然からとれる色で、赤、黄、茶色、黒などが主に使われている。
最近では水彩絵の具などでいろいろな色が使われている作品も目にするようになった。
オーストラリアにはダチョウではなくて、エミュと呼ばれるダチョウのような土着の鳥がいる。
卵もダチョウの卵と同じくらい大きい。
ただし、エミュの卵の殻は緑色だ。
殻は何層かになっている。
一番外側の層を削り取ると中には白い殻がある。
卵に小さな穴をあけ、中身を空にして、殻を削り、部分的に白いキャンパスのようにする。
そこにロンはアボリジナルアートを描いて、ぼくにくれた。
アボリジナルアートはシンプルだが、そのシンプルさと色遣いにおれは魅力を感じ、今でもたまに描いたりする。
以下に簡単な作品を載せてみる。
こんな感じでシンプルだと思う。
基本的にドットを使っているのも特徴だ。
絵を描いていると、英語は単なる道具であり、何が好きなのか、何を追求しているのか、どんな人間なのかなどが本当に大事なのだと思う。
これからも心を落ち着かせるためにも絵を描いていきたいと思う。